第2章 中島くんの特技
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音楽室に綺麗なピアノの音が流れる。
ここは私のお気に入りの場所だ。
そう…ピアノだけが置かれている寂しい教室…
でも、ピアノの音だけが響く。教室の外の音は一切聞こえない。だから私はここが好き。時折ここにきて一人で好きな曲をピアノで弾く。
私は曲を弾き終えた。
「どうかな…?それほど上手じゃないんだけど…」
と、ピアノのそばで立っていた中島くんに聞いた。彼は目を閉じて最後まで聴いてくれたらしい。やっぱり、カッコいいな…思わず中島くんを見つめてしまっていた。
『うん…すっごい上手だね。』
中島くんは伏し目がちにそう呟いた。そして、私の目を真っ直ぐ見つめこういった
『ねぇ…ピアノって小さい時から習ってたの?』
私は首を横に振った。
「いいえ。独学よ。うち、親がいなくて一人暮らしだから…。自分で勉強して練習を積み重ねただけ。」
中島くんは目を丸くした。
『うそ!?あ、じゃあさ…俺さピアノが得意なんだよね…。良かったらこれから奈々に教えれるけど…。』
「ええ!?いや…そんなの悪いよ。お仕事とか忙しいんじゃないの?私なんかに構う必要なんてないよ…」
『いや。いいんだ。奈々だからいいんだよ。俺ならもっと君の隠し持っているピアノの才能を引き出せるような気がするんだ。それに…俺…奈々に一目惚れしちゃったんだよね…』
え…?一目惚れ?こんな私に…?ど…どうしよう。体中の体温が上がってすごく暑い…。気がついたら私は中島くんの腕の中にいた。
パニックになっている私に中島くんは囁いた。
『俺と…付き合ってください。必ず奈々を幸せにします。だから…付き合ってください。』
耳にかかる中島くんの吐息がくすぐったい…。私は頬を赤らめて
「私でいいのなら…よろしくお願いします…」
中島くんは
『じゃあ…これからよろしくね。俺の事は健人って呼んでね。』
中島くん…いや健人はそう言うと顔を私に近づけた唇と唇が重なり合う。これが私の始めての恋。アイドルとの危険な恋の始まりだった…。