第20章 離れたくない
私はベッドの上に座って、部屋の窓から見える空を眺める。
夕方の空は橙色して燃えている。
もう少し時間が経つと、だんだん深い青になって、暗くなって夜になる。
夜になって、朝になって、また夜になると…
もうここには彼はいない。
私の目から涙がこぼれる。
「泣いているの…?」
彼がそっと後ろから、私の身体を抱きしめる。
「うん…」
私は涙を拭きながら答える。
「どうして?」
彼が優しく問いかける。
「離れたくない」
「うん?」
「雅樹くんと離れたくないの。ずっと一緒にいたい…」
涙がぶり返し、あふれ出す。
彼はそんな私の身体を優しく、またぎゅっと抱きしめ直す。
「離さないから」
耳もとで彼がささやく。
「もう離さない。ずっと一緒だよ」
「うん」
彼の言葉に、私は小さく頷いた。