第2章 嵐:大野智
気づいたら泣いていた。
情けなくて、俯いてると
君はそっと涙を拭ってくれた
「私だって知らないよ?
智くんはどんな食べ物が好きなのかも
可愛い子が好きなのか綺麗な子が好きなのか
女の子の好きな仕草も、タイプも
なんで、私なんかと付き合ってくれたのかも」
「…う、嘘です、そんなの……」
「ほんとだよ?
いつも不安だから好きとか大好きとか
そんな言葉で隠すんだよ」
なにも知らないよ、君の事。
初めて君と出会ってから、
何度も話しかけてくれた理由も
おはよう、って一番に俺に
挨拶してくるその理由も
「好きです、付き合ってください」って
顔を真っ赤っかにして
そう君から言ったその理由も。
「…それで?なんで怒ってるの?」
だけど、これだけは秘密にしておくよ。
君が高校の同級生と仲良く話すとこを
偶然にも見てしまって、
ヤキモチ妬いちゃったなんてこと
絶対に教えてやんない。
「ふふ、秘密です。」
「なんでよ~!」
君が笑う理由も俺が不機嫌な理由も、
きっとお互いに分かってるはずだから。
( 笑う君と不機嫌な僕の理由 ) END