第3章 日常
=雪乃side=
そんなこんなで宴はやっと解散した。
「じゃあまたねー!」
「おーう。」
など口々に別れを告げ、それぞれがそれぞれの帰路につく。
みんなを見送り、私も帰ろうと歩を進めようとしたとき、後ろから声をかけられた。
「〝代わりなんて考えられない”か。随分ひどいことをいったね。」
私はその声に振り返った。
「藍染隊長。まだお帰りになっていなかったんですね。」
「ふふ、彼は所詮、〝平子隊長”の代わりでしかないのだろう?」
「・・・それは当て付けですか。もう真子は隊長じゃない。」
「おや、意外だね。ちゃんと理解していたんだね?」
「あいにく、死んだ人をこの世に縛り付けるほど、堕ちた頭は持ち合わせていないので。」
「代わりなら、何も彼でなくてもいいはずだ。」
「東仙隊長は私ができなかったことをした人ですから。」
「平子真子の死に目に会えなかったことを後悔しているのかい?」
「・・・・ええ、とても。」
「そう睨まないでくれ。私は何もしていない。助けてあげられなかったのは、謝罪するよ。でもやはり、彼じゃなくてもいいはずだ。彼以外にも看取った人はいる。・・・私もその一人だ。」
「あなたには頼りたくないんです。全く信用できないから。それに、ギンには抱えているものが多すぎる。これ以上潰すわけにはいかないんですよ。」
「そうかい。私はそんなに信用がないかい?」
「もちろん。あなたほどの力・・・いや、その抑えている霊力を開放さえすれば真子を助けることなんて容易かったはず。」
「痛いところをつくね。でもまさか君に気づかれていたとは。」
「私のあだ名をお忘れで?かぐや姫は月の者。天から見えぬものはないんですよ?」
「そんな悪態をつかなくてもいいじゃないか。それとも、照れ隠しかな?」
「そう思っといてください。」
「じゃあ、そうさせてもらうよ。おやすみ。帰り道には、気をつけて。」
「どうも。」
会話を終え、私は瞬歩で自宅に帰った。