第2章 出会い
私は、逃げていた。
国名も知らない街中を、
人がいなくなってしまった街中を、
全速力で駆け抜けていた。
必死に走っている私の背中に、
化け物が奇声を浴びせた。
「逃げられないよぉ!
イノセンス渡せよぉ!
イノセンス~!!!!」
「はぁっ...はぁっ...あ、いつっ!
今までのヤツより強い.......!」
息を切らして飛び込んだ路地で、
私は足を止めた。
「なっ.......!?
行き止まり!?そんな!」
目の前には非情にも
壁が立ち塞がっていた。
「追い詰めたよ~!
ひゃっはっはっ~!」
化け物が追いついて、
ニヤニヤ笑いながら近付いてきた。
「つっ.......!」
ー もう、逃げられない
目を閉じて、
死を覚悟した時だった。
口から、言葉が零れた。
「助けてっ...
誰かっ.......!!!!」
自分の言葉に、自分で驚いた。
ー 助け??この街に、
生きている人間はもういないのに。
それに.......
助けを求めても......。
ドーン!!!!
突然、爆発音と共に
爆風が巻き起こった。
「きゃあ!!」
咄嗟に顔をかばった私は、
砂が入らないように目を細め
何が起こったのか見ようとした。
土煙の向こうに、
白髪が揺れていた。
「うっわー、
派手にやるさー、アレン!」
すぐ後ろから聞こえた
声の方へ顔を向けると、そこには
「危なかったさー、ケガないか?」
「無事で良かったわ」
「誰.......??」
赤い髪の青年と、黒髪の少女が
笑みを浮かべて私を見ていた。