第11章 その11.隣にいてはいけません
目の前にあるアパートのチャイムを押す。
少しして、はい、と扉が開く。
扉を開けてくれた人の目が、
少し大きくなった。
そりゃそうだ、
初めて来たもん、先輩の家。
「………、お前なんでここ」
「相葉さんに聞きました。」
「クッソ、あのおしゃべり」
二宮先輩はそれだけ言うと、
私とは目を合わせてくれない。
先輩、私
何かしましたか?
「大野さんと…ケンカしたんですか?」
「には関係ない」
「…ほんと、ですか?」
「ほんとだって、」
いつもより、面倒くさそうに、
早めに切り返してくる二宮先輩。
だったらなんでそんな態度とるんですか。
私はその思いを飲み込んで
大野さんとのことを伝える。
「…大野さんに、放っておいて、と言われました」
「……」
抑えていた、胸の痛みが、震えに変わっていく。二宮先輩を前にすると、押し殺していた不安が一気に溢れて、ぶつけてしまいそうになる。
「わ、私、どうしていいか、わからなくて…」
「……」
「私…、二宮先輩が教えてくれないと「」
二宮先輩がまだいい終えない言葉に被せて私の名前を呼ぶ。