第7章 その7.鵜呑みにしてはいけません
店を出ても先輩は手を離してくれなかった。
歩くのが速くて、ついていくのが精一杯で、息があがってしまう。
「…っ、先輩っ…」
「うるさい、黙って繋いでて。」
「……」
「、」
「……」
「わからなくなったら、俺に聞いて。」
「…え?」
「もし、キツくて大野さんへの気持ちがわからなくなったら、俺に聞いて。…ちゃんと思い出させてやるから。」
「……」
「大野さんのこと…諦めないで。
あの人のこと、が助けてやってよ。」
二宮先輩の言葉はいつも抽象的で、私には少し難しい。でも、何か、心に沁みて泣きたくなるような、でも、心強くなるような。
大野さんを助けてと言う先輩の声が、
悲しくて、私がやらなくちゃ、と強く思った。