第6章 Happy Birthday to me...【ラフ甘男子】
ワインと焼酎混ざって変な匂い。
それにピザのトマトとチーズの香りもする。
高城、そう名乗った私に付き合わされた不幸な彼はワインをほぼひとりで一本飲みきり私の飲んでいた焼酎に手を出していた。
グラスを取ってこいと言ったのに面倒だと私のものを奪いいつの間にか回し飲み状態。
「高城、飲みすぎ」
「継ぎ足せばいいんですよ」
彼も飲みすぎているのだろう、継ぎ足すのはいいがテーブルに溢しながら乱暴に注ぐ。それが丁度空になった。
「大雑把すぎでしょ」
「まさか、僕ほど繊細に仕事をこなす職人はいないって言われますよ」
「あんたのどこが繊細なの?」
「さあ?」
へらへら笑って空ビンを振り回している。
本当どこが繊細なのか。
明らかに大雑把、それの塊だ。
「……あ」
ふと、ローテーブルの端っこに追いやられていた、あの白い箱に目が留まる。
すっかり忘れていた。
「ケーキ、食べるんですよね。だから僕は呼ばれた」
「そうだった」
「酔っぱらいさん。僕が出しますよ、ケーキ」
箱から引きずり出されたホールケーキは、揺らしたせいで端のクリームが少しだけ箱についてしまっていたけれど、それでも十分、芸術品みたいに綺麗だった。
真っ白な生クリームの上に、艶やかなイチゴ。
そして、私の年齢なんて誰も知らないのに、律儀に乗っている「HAPPY BIRTHDAY」のチョコプレート。
「……フォークでいっか」
お皿を出すのも面倒で、私はキッチンから持ってきたフォークを2本、高城に手渡した。
「直で行くんですね。いいですよ」
高城は笑ってフォークを受け取ると、迷いなくケーキの真ん中にフォークを突き立てた。