第1章 キャラメル・ソング
四角い窓が切り取る、南西向きの空が茜色に染まる。
少し先に建つ小学校から下校を知らせる音楽と、それに促されて三々五々に散っていく子供たちの声が聴こえる。
京都の北風は冷たい。
「盆地やから。夏は暑いし、冬は寒いんよ(笑)」とが前に言ってた。
智 「夏はあんなに暑かったのになー。」
「・・・・・え?」
智 「あ、この部屋が(笑) 西に向いてるから、夕方すっげー暑かったじゃん。」
「あー(笑)」
ちょっと笑って、またオレの髪を切り出す。
切られた髪が床に敷いた新聞紙の上にカサカサ音を立てて落ちる。