第9章 Endless Game (R18)
まっすぐにまっすぐに歩いてるつもりなのに、気付いたら同じ所に戻ってる。
ねじれて歪んだ場所。
エントランスで部屋番号を押す。
無言の応答と共に、ドアが開く。
いつものように、一瞬の躊躇と一緒に中に踏み出す。
彼の部屋のドアの前、呼び鈴を鳴らす。
取っ手を引く。鍵はかけてない。
いつものように、小さな溜息と一緒に中に入る。
ひかり 「智、入るよ。」
返事は聞こえない。
TVの音がする。釣り番組の音声。
寝てるのかな。
ソファを背もたれにして、メールを打ってる。
寝てなかった。珍しい(苦笑)
ひかり 「智。」
智 「ん?」
視線をこちらに向けずに、小さく返事する。
ソファの背後から、その様子を眺める。
ひかり 「智。」
智 「・・・・ちょっと待って。」
まだしばらく親指が忙しなく動いた後、ポンと違うボタンを押した。
送信したらしい。
誰に送ったの。