第4章 電話
誰もいない家に帰ってご飯も食べずに僕はベッドにダイブした
女の子のように先輩の連絡先が入ったスマホを抱き締める
それだけのことなのにすごく幸せを感じるんだ
「…先輩…家着いたかなぁ…
もう電話してもいいかなぁ…」
誰もいない空間に話しかける
だけど当然のごとくそれに対する返事はなかった
「…ご飯のあとにしようかなぁ」
日本遠征中の親に変わって家政婦さんがご飯を作ってくれる
広いリビングでご飯を温めて広いテーブルに座る
向こうは知らないのだからまず来るはずのない連絡を待つかのように隣にはスマホが置かれている
「…つまんない…」
面白いテレビもなく静かな空間で一人ご飯を食べるのだ
…あぁ…早く食べて先輩に電話しよう
先輩の声が聞きたい