第1章 choose me!(竹中半兵衛)
「半兵衛くんっ!これ家庭科で作ったマフィンなんだけど、良かったら食べて!」
また
「半兵衛くん、これうちで作ってきたクッキーなの」
また、だ。
「みんな、ありがとー」
彼の周りにはいつも女の子。
私はそれが気に食わない。
ニコニコしている彼も気に食わない。
私はただこうして、横目で見ているしか出来ない。
「ただの臆病者じゃない…」
はぁっと今日何度目かの溜め息がこぼれる。
ふと、窓の外を見ると黒い雨雲が空を覆っていた。
「雨降りそう…傘ないや……」
また視線を彼に戻す。
周りの女の子達にニコニコと笑いかける彼を見ていると胸がきゅうっと締め付けられる。
話し掛けることも出来ない私に彼はきっと、この先も気付かない。
「雨降る前に帰ろ…」
そんな彼をこれ以上見ていられず私は席を立つ。
昇降口まで来た所で足を止めた。
「あ…降ってきちゃった……」
止むまで待とうと佇んでいると、後ろから声を掛けられた。
「ねぇ、傘ないんでしょ?」
「!?…はっ半兵衛くん…っ!」
どうしてここに!?
女の子達は?
傘?
マフィンは!?
色んなことが私の頭を巡ったけれど、言葉が中々出てこない。
「一緒に帰ろうよ、俺送るから」
「……どうして…」
やっとのことで出た一言に彼は微笑む。
「俺がいつも見てたのは君だけ、だよ」
全てお見通し、と付け加えて悪戯な笑顔を私に向けた。
隠れて見ていたことも、ふてくされていた事も、全部バレてたなんて!
(恥ずかしすぎる………///)
「これからは雨でも晴れでも一緒に帰るよ?…ってねぇ、聞いてる?」
「!!///」
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choose me!/AKB48
(だめ、顔が熱い!!)
(顔、ちゃんと見せてよ)
(!!////)
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