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戦国夢想(戦国無双3、戦国無双4)

第7章 ナツノオワリ(石田三成・加藤清正)


三成が処刑されて二月、私はまだ貴方の言葉を信じてる。


「またここに居たのか」

「…清正」

海の見える大阪城の一室。
窓辺で頬杖を付いて海を眺める、そんな毎日を私は送っていた。

「日暮れになれば冷えてくるぞ…」

「うん、それを見たら降りるわ」

「………わかった」

迎えに来てくれたんだろう、それがわかっていても此処を離れられない。

清正が去ったあとも変わらず海を見つめる。

「三成……」


もう会いたくても会えない、大好きな人。
触れたくても、もうそれは叶わない。


「ねぇ三成…この海が見えてる……?」

日が落ちるにつれ、青かった海が赤に染まっていく。

貴方の髪の色と同じ、色。

毎日こうして貴方を感じる。

「どうして…私を連れていってくれなかったの……?」

側に居たかった。
貴方を最期に一人にしてしまった。

「三成…」

太陽が眠ってしまう。
日が沈み切った海は真っ黒になってしまった。

「会いたいよ…」

気を緩めたら、泣いてしまいそうだった。



「…冷えるって言ったろ」

フワリと肩に羽織がかけられる。
驚いて振り向くと、優しい目をした清正が立っていた。

「…うん、ありがと………」

無理矢理に笑おうとしたから、かな。
清正まで苦しい顔してる。

三成のいない世界、三成のいない未来。

「清正…私ここを守りたい」

貴方のいた場所、貴方との記憶。

「三成が、守りたかった私たちの家だもん…」

「なら」

清正が私の頭にポンと手を乗せる。

「俺はも守る」

「え…」

「アイツが守りたかったもの、だしな」

暗い海を月の光が照らす。
とても綺麗だった。




ーー 離れている時も、と同じように俺も月を見てる ーー




貴方がくれた最期の言葉。
私はまだ信じてる。



………………………………………………………………………

ナツノオワリ/清水翔太

(清正、いつも気にかけてくれてありがと)
(そりゃお前……気にするだろ…)
(なんで?)
(………まだ、言わねぇ///)
(?)

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