第6章 笑うがいい(毛利元就)
「あれは…なんと言う名の星だったか…」
星を追って歩いているうちに森の奥まで来てしまった。
けれど、一人でこうして森を歩くのも悪くないと思ってしまう。
元就に聞いた星の話。
全ての星にも名前があると言う。
真じゃろうか。
「ふぅ…」
落ち着くには良い場所じゃ。
近頃のわらわは、どこかおかしい。
元就が側に来ると顔が熱くなる。
目が合うと離せなくなる。
元就が他のおなごと話していると胸が痛む。
前はこうではなかった。
「元就…」
「はい」
「…っ!?」
名を呟くと聞こえてきた返事。
振り返ると想っていた人の顔。
「探したよ」
にこりと笑う元就にまた胸が締め付けられる。
顔を、合わせられぬ…。
「姫様?……姫、顔を見せて」
「嫌じゃ…!」
「…見せて、」
「っ……!////」
あぁ、きっと酷い顔をしている…。
こんな顔、見せたくなかった。
「……ねぇ、姫…私を誘ってるのかい?」
「///さそ…?」
「そんな赤い顔をして、目を潤ませて…」
「わらわは!…変、なのじゃ……元就に見られるとこうなってしまう!///」
元就の事しか考えられぬ、
こんな自分を見られたくない…
「それは…ようやく私を意識するようになった、そう言う事かな?」
「い…意識……?」
「私にとっては物凄く嬉しい事だから、そんなに困る必要はないよ」
こんな…無様なわらわを喜んでくれるのか?
「おいで」
「ひゃあっ…」
腕を引かれすっぽりと元就の腕の中に収まる。
「夏が近くても…まだ冷えるね、冷たくなっているよ」
「もっ…元就!」
頬に口付けをされる。
触れる部分が、熱い。
「ここも」
「っ…///」
額、手、耳にも口付けを落とされる。
「んんっ…//」
「唇も、冷たいね…」
さぁ、帰ろうかと涼しい顔をして言う元就に返す言葉が見つからぬ…!
「たくさん悩んで、もっと私の事を考えて…ね?」
わらわの苦悩は続きそうじゃ……
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笑うがいい/Not yet
(私はいつもの事を想っているよ)
(!!…言うていて恥じらいはないのか!?)
(恥じらいとかも覚えてくれたんだね…うん、成長だ)
(元就っ!///)
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