第9章 9日目
二宮くんに彼女になれと、半ば脅迫紛いなあの日から数週間が経った頃、携帯電話に「二宮くん」からの着信あり。
あれから何度か連絡を取り、時には私からすることもあった。あれ以来、二宮くんは私を「好きだ」的なことは一切言いません。てことで、私達は付き合ってません。あれは、あの日の出来事は、夢だったのかもしれない、と思う今日この頃なのです。
「もしもし!」
確か最後に電話したのは1週間前。久しぶりの名前にワクワクする。
『・・・・・・?』
電話の向こうの二宮くんはなんだか元気がなく、私とのテンションの違いに一瞬戸惑った。
「あ、ど、どうしました?」
『...ん、あのね、ポカリ』
「・・・え?」
『・・・あと、ね、ゼリー。あ、みかんのやつ』
「・・・え?」
『冷えピタも、よろしく』
「・・・え?」
あれ、私なんかの宅配サービスと間違えられてます?
「二宮くん、・・・パシリですか?」
『ん、ふふ、そおね。』
「ひ、久しぶりの・・・電話がパシリですか。」
『・・・うん、急に重たい病にかかってね・・・』
え・・・や、病・・・?
「な、なんですか、ソレ・・・」
『・・・うん、もう死ぬかもしれ・・・ゴホッ・・・』
と咳き込む二宮くんの後ろで
トゥルットゥルー♪と何かがレベルアップしたような音が聞こえると、すぐさま
うっそ、やったぜ!
と小声で漏れる声もバッチリ拾う。
「そんなマリオがおっきくなった様な音させて重病なんて嘘、平気でつかないでくださいよ二宮さん。」