第23章 23日目
あれから1ヵ月、二宮くんからの連絡が一切ない。
週刊誌が発売された日、心配になって二宮くんに電話をかけたら
「お掛けになった電話番号は、現在電波の届かない所にいるか、電源が――・・・」
というアナウンスが流れた。
バタバタしているんだろうと益々心配になったけど、今は連絡を待つしかないと思った。
2日目でもまだワイドショーは二宮くんの話題でもちきりで、スポットライトは私に向けられるようになってきた。
3日目になると会社の外にカメラを肩に下げたスーツ姿ではない人を見かけた。自信過剰かもしれないが、バレたのかと不安になった。
会社に出勤する時も、同期と楽しく会話する時も、常にそれを気にしている自分がいた。
3週間が経つと、話題は違う女優さんの恋愛報道が主になり、二宮くんの恋愛報道は次第にテレビで見かけなくなった。
それなのに
二宮くんからの連絡は一度もない。
これって、どうゆうことなのかな。
二宮くん、
会いたいよ。
声が聞きたいよ。
二宮くんは違うのかな。
華の金曜日、なんだか考えることに疲れていた私は特に用事を入れるわけでもなく、ボーッと帰り支度始めていた。
「お疲れ。」
そこへたまたま通りがかった住久くんから声を掛けられた。
「あ、住久くん、お疲れ様です。」
人と話す時は二宮くんのことを考えなくて済む。1人だと今の私は全部ダメな方に考えてしまいそうだ。
「もうあがり?」
「うん、住久くんも?」
「いや、俺は―・・・、あ、今からなんか用事ある?」
「え?ううん、帰るだけ。」
あ、まじ?と言って住久くんの顔がニコッと明るくなる。
「じゃあ、飯、行こうぜ。」
「え?住久くん、まだ」
「うん、やっぱやめた。今やめた。俺はお前と飯に行く。」
「ふふ、なにそれ。」
「じゃ、荷物取ってくるから」と私に背を向け、片手を上げて小走りで去っていく。
いつも急だなあの人は、と笑いが出た。