第5章 誓い(前編)
「ねぇ、ムウ」
「んぁ?」
「ほんとによかったの?」
「何が?」
「その..今日の予定、全部わたしが決めちゃって..」
マリューは申し訳なさそうに問う。
「何、そんなこと?」
「そんなことって..」
ムッとするマリューに
「俺はマリューと一緒ならどこでもいいよ。」
そう言うと途端にマリューの顔が赤くなる。
コロコロと表情の変わる彼女を見ていると、愛おしくて仕方ない。
今まで付き合ってきた女には、こんな風に思ったことはなかった。
それほどマリューに惚れているということかと、ムウは口許を緩めた。
「で、今日はどこに行くの?」
「んーとね、水族館!」
またなんとも可愛らしいデートスポットだこと。
「マリュー、水族館とか好きなんだ」
「好きよ、あの空間は幻想的で癒されるの。」
「ふーん。」
水族館や博物館とやらにまったく興味のないムウだが、マリューが行きたいのなら仕方ない。