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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第5章 【ジレンマ】


ドン……ッ
力任せに厚い胸板を
押し返した。

ほろ、ほろ
零れ落ちた涙が
野道の草を濡らしていく。

「……ごめ…なさ…っ」

嗚咽が漏れて言葉にならない。

まるで子供のように
顔を顰めて泣く私を、

鬼灯様は普段と変わらぬ
様子でただ見つめていた。

「私も……貴女を
泣かせてしまいましたね」

言いながら、私の頬に
大きな手が添えられる。

「帰りましょう。
ご自宅まで送ります」

その温もりが心に刺さって
私はまたひとつ、
瞳から雫を溢すのであった。





【五ノ章】
ジレンマ___終
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