第18章 CHERISH YOU
すやすやと眠る
大切な宝物を
ぼんやりと見つめて、
触れるだけのキスをした。
瞳を閉じれば、まるで
昨日の事のように思い出す。
本当は知ってたんだ。
強がりな女の子が
いつだって必死に涙を
堪えていたこと──
貴女が初めて笑ってくれた日
貴女を改めて愛しいと思った。
地獄の底で出会った
この少女から、
私は一体どれだけの幸せを
与えられて来たのだろう。
現世の冷たい風が
窓から吹き込んで
二人の身体をすり抜けて行く。
「……ありがとう」
あの日言えなかった言葉。
短い愛を独り言のように
囁いて、いつまでも貴女を
抱き締めていようと・・・
震えるこの胸に誓った。
【十八ノ章】
CHERISH YOU___終