第16章 【ティファニーで夕食を】
私から零れた液で濡れた手を
鬼灯様はペロリと舐って言う。
「初めてでした?」
口許を両手で覆って
一度だけゆっくり頷く私。
幾度となく白澤様と
身体を重ねては来たけれど
所謂、潮というものを
噴いたのはこれが初めてだ。
「……じゃあ、記念に
もう一回出しますか?」
「……っ!!?」
「冗談ですよ。だって
もう私も限界ですから」
淡々と言いながら私に
覆い被さった鬼灯様が
ほんの少し、少しだけ
笑ったような気がしたんだけど。
(……気のせいかな)
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男は愛する女の
最初の男になる事を願い
女は愛する男の
最後の女になる事を願う
【十六ノ章】
ティファニーで夕食を___終