第4章 鬼
土方「動ける隊士はこれだけか。」
集まったのは約40名。流石に少ない。
山南「申し訳ありません。怪我がなければ私も。」
近藤「いや、山南くんには留守をしっかり守ってもらわなくては。」
土方「会津藩と所司代はまだ動かねぇのか。」
井上「まだ、何の知らせも無い様だよ。」
証拠がなくては動かないというところだろうな。こんな一刻を争う重要なところで悠長なことを。
近藤「問題は、本命が池田屋か四国屋のどちらなのかということだが…」
山南「奴らは池田屋を頻繁に利用していた様です。まさか、古高が捕縛された夜にいつもと同じ場所を使うとは考えにくいでしょう。ここは、四国屋が本命と見るのが妥当でしょう。」
成る程。四国屋に回った隊士が多かったのはその様な理由だったのか。
近藤「しかし、池田屋の可能性も捨てきれん。」
土方「よし、隊を二手に分けよう。四国屋へは俺が行く。」
近藤「ならばトシ、24名連れて行け。」
土方「近藤さんが10名で行くのか?そりゃ無茶だ。」
近藤「その代わり、総司、永倉、平助そして桜時くんを連れて行く。」
土方「わかった。」
千月「私はここに残ります。手薄になった屯所ほど危険な場所は無いでしょうし。伝令もあるでしょうから。」
近藤「わかった。頼んだぞ。」
人を殺せない私が池田屋に行ったところで足を引っ張るだけだろうしな。
こうして長い夜が始まった。