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道化師恐怖症。

第3章 白雪姫と灰かぶりが共演らしい



まぁいいや

ゴソゴソと袋に手を突っ込み
言われた通り苺を取り出す


「そっちのお二人さんは?」

「俺、パインー!」

「俺は…リンゴかの」

「パインとリンゴねー」


西崎さんに苺を渡して
また袋をゴソゴソする

あ、あったあった


「はい、パインとリンゴ」

「サンキュー如月!」

「ありがたく頂くぜよ」

「いえいえ」


カサッと音が聞こえた

音がする方をチラッと見る

それは西崎さんが
机の下で飴ちゃんを握りしめる音


そんな強く握っちゃったら
飴ちゃんが潰れちゃうよ?

たかが飴ちゃんあげただけで
そこまで嫉妬しちゃうの?


やっぱりテニス部狙いだったんだね
それしか無いか


「蒼ー!
次、移動教室だって!」

「わ、まじか!今行く!
じゃあね、西崎さん」



振り返り、西崎さんに
手を振る

彼女は笑って
手を振り返してくれたけど

…きっと内心は笑って
ないんだろうな

彼女の心の中が見てみたいや
とっても気になる


「みぃちゃん、お待たせー」

「ほら、行こう?
遅刻しちゃうわ」

「うん。ごめんごめん」


廊下をパタパタと駆けていく

遅刻しちゃうと
みぃちゃんは言ったけれど
まだ5分くらいあるんだよね

せっかちだなぁ
みぃちゃんは

そんなところも
好きだよ、私は


「それで、どうだった?」


どう、と言うのは
西崎さんの事だろう

こういう時に
嘘を言ってはいけない


「ニコニコって
笑ってた!」


声のトーンを上げながら言う

そうすると楽しそうな話に
聞こえるから

楽しそうな話をする人って
ポジティブでいいイメージしか
生まれないからね


けど、みぃちゃんは
ハァとため息をついた

予想通りです


「やっぱりぶりっ子じゃない。
周りに媚び売ってるんでしょ」

「そうなの? 」

「そうとしか思えないわよ。
あーもう!嫌になるっ」

「カリカリしてても
良い事はないよ、みぃちゃん」


苛立ちを表に出したところで
それは解決しない

収まりもしない

ただ、損をするだけ


隠さなきゃ

全てを面白く
上手くいかせるためには

本音は隠さなきゃ
ダメだよ

ほら、もう

見えないでしょ?






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