第6章 甘い紅茶にアルコールを一滴
「嫌いって…ハッキリ
言われちゃった…」
あ、やっと喋った
嫌いって言われたねぇ…
さぁ私は何て答えようか
とにかくテニス部の目が
凄く痛いのだけれど
「なんで金坂さんには
西崎さんの良い所が伝わらない
んだろうなー…」
「私に、良い所なんて…」
「無かったら丸井くん達は
君をマネージャーに誘ってないよ。
ねぇ?」
こちらを凝視してる丸井くん達に
問いかける
丸井くんと仁王くんは
当たり前のように首を縦に振った
「エリナは優しいし可愛いし
俺たちはちゃんと分かってるぜぃ!」
「ブン太…」
「俺たちはエリナの味方ナリ。
安心するぜよ」
「雅治…。
二人とも、ありがとぉ…」
私から離れて
二人に駆け寄っていく西崎さん
わお
丸井くんの熱い抱擁だ
仁王くんは彼女の頭を
優しく撫でている
あ、そゆことね
私に泣きついて
皆の同情心を誘いながら
あの二人に自分を褒めてもらって
周りとの差を見せたかったのか
また上手く利用されたな 私
別に構わないからいいや
それにしても女の子達の顔が
どんどん険しくなってる
本音を代弁するなら
調子に乗んなよテメェみたいな?
あー恐ろしい恐ろしい
腹の中が見え見えなのに
大事なとこ隠れてるんだから
西崎さんはきっと
優越感に浸りきってるハズ
自分の思惑通りに
物事がドンドン進んで
いくんだもんね
きっと楽しくて面白くて
仕方が無い事だろう
だけどね?
私も愉快で愉快で
しょうがないんだよ
君のその
自信に満ち溢れた顔は
近いうちに
ボロボロになるだろうから
醜く歪むんだろうね
目の光は失われて
肌の輝きも無くなるんじゃない?
堂々と表を歩くことすら
出来なくなるかもしれない
人間不信に陥るかも…
あぁ背筋がゾクゾクする
これからもっと面白くなる
人間、思惑通りに行かなくなると
絶対に戸惑うから
固まってしまうものだから
そこを突いてやろう
慎重にいかないと
それこそ嫌われて
皆のサンドバックなんて
絶対嫌だからさ
頭良くいかないと
賢くね
本音は見せて
やんないよ