第5章 長針と短針が溶けて絡まった
「そっか…。
でも、金坂さんもしかしたら
人見知りかもしれないよ」
「…え?」
きっと、彼女は
「え!金坂さん酷い!
西崎さんが可哀想すぎる…」
なんて言葉を期待してたんだろう
えぇそんな甘くないですよ
求められた言葉をポンポン言う程
簡単じゃないんです
誰にでも金坂さんを否定して
自分を肯定されると思うなんて
まだまだ子供脳だね
可愛いなんて思わないよ
むしろ、たちが悪い
ある意味無邪気なんだよ
この人は
だからって同情心なんてものは
湧いたりしない
私は私を楽しませるために
やってるんだから
「ほら、金坂さんって
あんまり友達いないって聞くし…。
接し方が分からないとかさ」
「そ、うなんだ」
西崎さんの表情は
段々と曇っていく
そりゃそうだよね
全然味方してくれないんだから
この辺で補ってあげましょうかね
「後は…皆を取られそうで
怖い…とか?」
「取られそうで…怖い?」
あ、一瞬口元が緩んだ
やっぱりこういうセリフが
お望みですか?
「西崎さん可愛いし
皆にチヤホヤされるのが
悔しかったりするんじゃない?
嫉妬…なんかもあったりして」
「そ、そんな…」
右手で口元覆い隠して
驚きの表情見せてますけど
分かるからね
嬉しそうに目が笑ってるの
人から嫌われてるの知って
喜ぶなんてMだねぇ
あ、こんな人をMにしたら
本物の人に怒られるかな
「私…どうしたら…」
「自分なりに頑張れば
きっと金坂さんにだって
分かってもらえるよ!」
「…そうだよね。
如月さん、ありがとう」
「頑張ってね」
何か企んでる顔してるから
きっと悪巧みだろう
大方、金坂さんを
嫌わらせるんだろうね
単純思考 お疲れ様
「ねぇ如月さんの
下の名前って何?」
「え?蒼だけど…」
「そうなんだ!
蒼って呼んでもいい?」
まさかの下の名前呼び?
女の味方をつけておきたいのか
自分に都合良く動いてくれる女を
残念だったね
君が駒になりえると思ったのは
一番の敵だよ
私が楽しむ為に動いて?
なんて言わないさ
ちゃんと自分で動くから
「うん!勿論!」
君は私の表だけ見て
浅く評価してな