第21章 約束
清水の舞台からの眺めは、圧巻の一言だった。木々や他の建物の屋根を眼下に見下ろして、私たちはため息をつく。
私が「すごいね」と呟くと、ユウトが「また来ようね」と返してくれた。
ユウトの手伸びてきて、私はユウトの方を向かされる。キスでもされるのかとドキドキしていると、ユウトが真剣な表情で口を開いた。
「清水の舞台から飛び降りるっていう言葉、知ってるよね?
思いきって大きな決断をするって意味なんだけど……。
一生のことだから、こういうのは清水の舞台から飛び降りる気持ちですることなんだと思うんだ」
言ってる意味がよくわからないけど、何か悩んで決めたってことだよね。
仕事のこと?
仕事に集中したいから距離を置きたいとかじゃないよね……?
私の瞳は不安で揺れて、真っ直ぐユウトを見られない。
そんな私の顔を覗きこんで、ユウトは自嘲ぎみな笑顔を見せる。
「美月ちゃんは俺とのことになると、ほんとネガティブだね。
すぐそうやって不安そうな顔する。
本当は不安なのは、俺の方なんだよ。
こんなもので、何とかして君を縛り付けてたいぐらいに」
ユウト手で、私の左手の薬指には指輪がはめられる。
小さなピンクの石がついたV字型のリング。
「えっ……?」