第1章 出会い系
「あっ…んっ…だめ…」
私は美月。声優志望の女子高生で、今は初のアニメ収録中。せっかく手に入れたチャンス、逃せない。
…だけど。
「美月ちゃーん。
もうちょっと、エッチな声出せないかなぁ。
彼氏とエッチしてるみたいな感じでさぁ。
……今日はここまでにしようか」
監督がため息をついた。
そう、これはエッチなアニメ。
激しいエッチシーンを演じなくちゃいけない。
でも私……処女なんだよね。
エッチな声なんて、どうすればいいのか全然わからない。
どうすればいいんだろ……。
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高校の教室に着いても、頭の中はエッチなことばっかり。
「あぁーどうしようー…」
「まだ悩んでんの?」
仲良しの沙織が呆れた声を出した。
「ねぇ、沙織と彼氏がエッチしてるとこ……」
「絶対イヤ!変態だよ。美月」
…見せて。なんて、本当、変態だよね。
でも、わからないんだ。
どう演じたらいいのか。
「こうなったら……私経験する!」
私は強い決心と共に拳を握りしめる。
「ちょっ、ちょっと、美月。無茶しないでよー」
沙織の言葉も聞き入れず、私はスマホを取り出して、高速で打ち始める。
『たくさん気持ちよくさせてくれる人、私とエッチしませんか?』
出会い系サイトに登録すると、すぐに返信が数件。
適当に選んでこう送った。
「19時。○○駅前で。
水色のワンピース。白のバック」
○○駅は繁華街で、すぐ近くにラブホがたくさんある。