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弱虫ペダル〜短編集〜

第1章 御堂筋翔


「翔くん、本ばっか読んでておもんない!」

今日は付き合って初めて翔くんの家に来た。
けど、翔くんは私を自分の部屋に入れると
「テキトーに過ごしてや。」って言ってからずっと自転車の本を読んでいる。

「翔くん!!」
私は本を読んでいる翔くんの背中を何回か叩いた。

「君が来たい言うて来たんやろ?僕はなにするとも言うてへんで?」

翔くんは本を読んだまま言った。
今日くるの楽しみにしとったのにバカみたいやん…。

「じゃあ、もう帰る。」
「…」

翔くんは何も言わない。
本当に帰ってやろうと思い自分の鞄を持ってドアのほうに歩いて行ったら後ろから腕を掴まれた。
振り返ってみると翔くんがいた。

「…ほんに帰るん?」

少し困った顔で翔くんは言った。

「僕、今日君がくるのいややなかったで…。」

目線は少し下に向いているけど、翔くんが"いややない"って言葉を使うときは照れ隠しのときだ。

「ほんまに?」

翔くんは小さく頷いた。
私はそれがすごく嬉しくて胸がぎゅっとした。

「翔くんも照れる時あるんだね。」
「ファ?君は僕のことどう思っとるんや?」

翔くんは呆れ気味に言ってきたけどそれさえも嬉しかった。

「大好きって思ってるよ。」
「そういうことやなくて…。」

はぁ…って溜息を尽きながら頭をかいてる仕草も愛おしく感じるくらい私は翔くんのことが大好き。

「翔くんの大好きなところ全部言おうか?」
「あんま調子乗りなや?」
「照れてるところも大好きだよ?」
「ちょっと黙りや…。」

翔くんの顔が目の前にあった。

「んっ…。」

突然のことで、一瞬なにが起きたかわからなかった。

私の目の前に翔くんの顔があった。

その時に私は翔くんにキスをされたんだとわかった。



「ハァ…。」

翔くんが離れて私は息を吸った。
自分が思ってた以上に呼吸するのを忘れてたみたいだ。

「君もかわえぇ声出すんやな〜。」

翔くんがニヤニヤしながら言った。

「き、急にキスされたらびっくりするやん!」

「顔真っ赤やで。」

バッと自分の顔に触れてみると熱かった。
改めて翔くんにキスをされたと考えるとった胸の鼓動が早くなった。

「もう!翔くんのバカ!」
「そんなこと言うんやったらもうせんよ?」

うっとなったのがわかったのか、翔くんはまたニヤニヤしながらこっちを見た。

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