第12章 ~そして~
梨緒父「お世話かけました。」
俺に頭を下げてきた。
翔「いえ。とんでもありません。
俺たちの方が、梨緒さんにお世話になってましたから。」
梨緒「……………………………………」
梨緒父「梨緒…………すまなかった。」
今度は梨緒ちゃんに頭を下げた。
梨緒父「今日、すごく楽しそうに弾いていたね。
梨緒、ごめんな。こんな、お父さんで。
もっと、ちゃんと色々やらせてあげるべきだった。」
梨緒「そんなことない。
私はこれでも、十分楽しかったよ?
でもね、ピアノだけはやりたい。
唯一、真剣に、楽しくできるものだから。」
梨緒父「わかっている。
今日の梨緒を見てて、わかったから。」
梨緒「ありがとう!」
翔「良かったね。」
俺の顔を見て、2度頷いた。
一回目は真剣な表情で。
二回目はとっても笑顔で。