第38章 会わない時間
雅紀は本気だったんだよね。
もしかしたら、あたしの方が
逃げてたのかもしれない。
“結婚”っていう未来から
いつも逃げてて…
きっと雅紀はどこかで
真剣に考えてたんじゃないかって…
〈そういえば…相葉さんの出てる
雑誌、読みました?
もしよかったら…良いこと言ってましたよ〉
そう言ってマスターは
そっとあたしの前に“Must”と書かれた
雅紀の表紙の雑誌を渡してきた。
あたしは目次を見て
インタビューのページを恐る恐る捲った。
Q.相葉さんは結婚と仕事
どちらが大切ですか?
その回答にあたしはいつのまにか
涙が溢れていた。
相葉;それ究極だね。笑
でもね、決まってるんだよね。
もちろん“結婚”
だって結婚って女の人にとったら
大イベントでしょ?
愛する人がそう思ってんなら
俺にとっても大イベントなの。
仕事だって大切だよ。
でも愛してる人がいるからこそ
仕事もがんばれるんだよね。
だから俺は結婚かな。
幸せにする。なんてかっこよく
言えたらの話だけどね?笑
『っ……っ……』
〈大丈夫ですか?〉
言葉は耳に入らず、
ずっと止めどなく涙が溢れていた。