第35章 ジューンブライド
『ん?雅紀?』
雅紀の家のキッチンで
適当にごはんを作ってると
急に後ろから抱き締めてきた子犬
「…寂しい」
あらら…またまた可愛いことを…
シッポ見えてますぞ?
『もうすぐだから…』
「ん~…もう…」
なんて言いながら次は
あたしの首に顔を埋めてる。
『甘えん坊さんだなぁ…』
「甘えて良いって前言ったじゃん?
ほら…海の喫茶店で…」
なんで、この人記憶力いいんだろ…
確かに言ったよ。うん。
『ゴホンッ……』
「ふふっ……でしょ~?」
『……負けた』
やっぱり、あたしは不器用だから
聞けないよ。
こんな幸せ逃したくないもん。