第5章 活心流・再始動
弥彦君が道場に来てから4日目
彼は本当に怪我をしていたの?っていうぐらい元気
でも、無理は禁物なため、騒ぐ彼をいつもなだめている
『行ってきます』
「行ってらっしゃい」
私はというと、仕事を探し、そして働いています
赤べこで働いている
薫さんの紹介でここにしたんだけど、みんな気さくな人たちばかりで、優しい
毎日働いているわけではない
妙さんが来てほしいときに行く、
いわゆるシフト制みたいな感じ
そして今日は、お呼ばれしました
仕事には慣れた、と思う
たまにミスはしてしまうけど
「嬢ちゃん!四人前ね!」
『あ、はい!』
私は、お客さんに牛鍋の具材を持っていく
『お待たせいたしました』
「見ない顔だな。最近入ったのかい?」
『あ、そうです』
「そうかそうか!頑張れよ!」
なんて気のいいおじさんなんだ
私は頭を下げて、そこを離れた
午前いっぱい働き、私は解放される
「真愛ちゃん、これ今日の分ね」
『…ありがとうございます』
「真愛ちゃんがここに働きに来てからお店が繁盛しとるんよ」
『そうなんですか……?』
妙さんは“そうよ”と笑ってうなづいた
そのあと、道場に戻り
薫さんに働いた分のお金(3日分)を渡した
『生活の足しにしてもらえればって思って……』
「え……でも」
『居候させてもらっているんだもの……。これぐらいは受け取って』
「本当に、いいの?」
『うん』
うなづけば、薫さんは私に抱き着いて何度もお礼を言った
こんなに喜んでもらえるなんて思いもしなかった
相手からお礼を言われると、すごい嬉しいんだって、最近気が付いた
それから3日後
弥彦君の怪我はほぼ完治し、道場再建に向けての稽古が始まった
……のだが