過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第72章 新境地開拓
「私はこんなゴツイ男じゃなく、
ナナシと手取り足取り腰取りの練習がしたかったのに・・・・」
「おまえが新しい世界を開拓したせいで逃げられたんだろうが・・・」
ブチブチ文句を言い始めたエルヴィンに流石のミケも
キレそうになる。
普段ドSな癖に、何故ナナシだけに関しては気持ち悪いくらい
ドMになるのだろうか。
二人で大きく溜息を吐いた後、ゆっくりダンスのステップを踏み始める。
手拍子はリヴァイが打ってくれていて、
ハンジはまだ笑いのツボから戻ってこない。
ナナシは真剣に二人の動きを追っているようで
手拍子する余裕は無さそうだ。
エルヴィンはナナシが絡んでいないと優秀なので、
真面目にダンスを踊っていていると男から見ても絵になるなと
ミケですら思う。
取り敢えず一回最後まで踊り切ると、
ナナシから感嘆の声が上がった。
「凄いぞ、二人共!とても綺麗な動きだった!」
「参考になったかな?ナナシ」
「無論だ!・・・ミケの犠牲は無駄にしない」
笑顔で話し掛けてきたエルヴィンの方は見ず、
ナナシはミケに申し訳無さそうな表情を向ける。
ミケはその意を汲むと「おまえは気にしなくて良い」と片手を上げた。
悪いのは全部エルヴィンだ。