過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第10章 もう子供じゃない
「私はお主に使われる気は無い。
私を使って良いのはこの世界でただ一人だ。退け、小童」
早めに誤解を解いて自分の主張も通しておかねば手遅れになると思い、
突き放した物言いをすると自分に乗っている巨体が
小刻みに揺れた。
顔を見上げればエルヴィンが子供のように笑っている。
「はははっ!君は本当に昔と変わらないな。
安心もするけれど酷く残念だよ。
私はまだ君に片思いをし続けなければならないらしい・・・」
「だからお主のそれは・・・」
「―――おい、エルヴィン」
気配を殺し近づいてきた人物に声を掛けられたエルヴィンは、
やれやれ…と肩を竦めナナシから身体を退かす。