第67章 分かり合いたい

「何故、俺に言う？そういう小難しい事情が絡むんなら
エルヴィンの方が適任だろう？」

「いや、適任ではない」


即答された言葉にリヴァイは眉間に皺を寄せる。

エルヴィンならそれがナナシ相手だろうと人類に為なら
命を奪う事くらいやってのけそうである。

何故適任じゃないと断言出来るのかと、思考を巡らせていると
リヴァイの考えを読み取ったナナシがその理由を述べた。


「『殺す』だけならエルヴィンが適任かもしれないが、
私が重点を置いているのは私の身体の破壊だ。
例え私がエルヴィンに遺言としてそれを頼んでも、
あやつは私の身体を破壊せず、解剖に回すだろう。
『人類の為に』と言って・・・。私はそれが、
あやつに殺されるよりも嫌だ」


・・・確かに。
リヴァイは納得してしまった。
エルヴィンという男は、それが人類の為だったら
何でもしてしまう人間だ。

逆にリヴァイは遺言を託されてしまったら、
それを叶えようとしてしまう性分である。

それぞれの性格を見抜いた上での遺言とは・・・
ナナシの観察眼には脱帽してしまう。

だが・・・・・


「俺も調査兵団の人間だ。それが人類の為ってなったら
身体の破壊よりも解剖に手を貸しちまうだろうぜ」

「ならば、仕方無い。私に見る目が無かったのだと
草葉の陰で諦めるさ」

「・・・・・・・・・・・・」


あっさり引いたナナシに怪訝な表情を向けたが、
彼はこの話は終わりだと言わんばかりに地面に置いてあった
立体機動装置を弄り始めた。