過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第63章 気遣いと下心
怪我の治りに影響するならすぐに二人分の血液を飲ませてやろうと思い、
リヴァイにも血の提供をするように言おうとしたが、
エルヴィンはそこで血を飲んだ時のナナシを思い出す。
とてもエロい顔をして妙な色気を醸し出すナナシに、
リヴァイが欲情しないはずがない。
かくいうエルヴィンも、今あの表情を見たら確実にナナシへ
襲い掛かるだろう。
しかもナナシは今怪我をしていて大した抵抗も出来ないのだ。
二人掛かりで襲い掛かれば、きっと今のナナシになら勝ててしまう。
―――それは非常にまずい。
いつかは既成事実を作るつもりではいるが、
無理矢理強姦してしまえばナナシの愛を手にすることは
不可能になるだろう。
何よりも誰かを交えた性交などエルヴィンには耐え難いものだった。
これが娼婦相手だったらそう思わないが、
ナナシが相手では別である。
あの身体を組み敷くのは自分一人で充分だ。
他の誰にも見せるつもりもないし、触らせる気ももっと無い。
ナナシが男を煽る事に長けているなら、
男の血を吸わさなければ良いのだと判断したエルヴィンは、
ハンジとナナバを呼び出した。