過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第1章 序章:失われた歴史
私を分かりやすく説明するなら、
妖怪みたいな存在と言えば良いだろう。
本来ならこの世界には存在せず『異世』という妖の世界に
生きているのだ。
それがうっかり65年くらい前、人間の男に惚れてしまいあれやこれやで人間の世界で生きることになってしまった。
惚れた人間というのが『迅鬼狼』という最強組織の
『金狼』と呼ばれた団長だったのだが、
彼が死んでしまったので自分がこの世界に生きている意味が無くなってしまった。
私の存在意義は『団長』と『組織の仲間』だけで、
人類などはどうでも良い。
普通なら仲間の仇を討とうとしたり
巨人を駆逐してやろうとかなるのだろうが、
生憎私は人間とは違う思考らしくそうはならなかった。
そんなものは単なる自己満足だと思ったし、死んだ人間が生き返るはずも無いから無意味に思えたのだ。