過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第13章 重すぎる愛の告白
急いで駐屯兵団所有の馬を拝借し、市街地へと駆け出した。
市街地での立体機動の使用は禁止されていたはずなので、
いくらエルヴィンでも追ってこれないだろうという判断からだった。
しかし、どこへ逃げる?
あの狂気から逃れるためには生半可な逃げ方ではダメだ。
しかもパニクった頭では冷静な判断も出来やしない。
結局、馬を全力疾走させ逃げ込んだ先は――――
・・・・・・調査兵団本部だった。
調査兵団に乗り込んだナナシは、
顔見知りであるリヴァイをとっ捕まえ懇願した。
「あの・・・トチ狂ったエルヴィン・スミスの坊を何とかしてくれ!」
しかも運悪くリヴァイを捕まえた場所が訓練場で・・・
ミケも、他の兵士も沢山いる所だった。
突然現れたナナシに「エルヴィンを何とかしろ!」と
縋られたリヴァイは目を丸くして驚き、固まったままだ。
色々な説明を省いてしまうナナシの悪癖が、
あらぬ噂を兵団内に撒き散らかしたのは言うまでもなく・・・
一番先に我に返ったミケがナナシの背中を促し
空いている部屋に案内してくれたのだった。