第5章 永光〜お万の君〜
「何を呆けた顔をしているのだ。」
「…」
今日も私は朝から呼び出され
春日局様に叱られていた。
確かに少しぼーっとしちゃったけど。
ほんとに身も蓋もない…
っていうか、ただの手解きとはいえ
身体を重ねたのは事実で。
私はどうしても殿方としての春日局様を
意識してしまっていた。
でも春日局様は…
「呆けた後はのぼせ上がった顔をして…
貴女は全く落ち着きがないな。」
「申し訳ございません…」
春日局様のお小言は更に続き、
私が小さくなっていると…
コホンコホンと咳払いが聞こえた。
「お万の君か…」
「お二人とも声を掛けても
お気付きにならないので…
随分と熱心なご指導ですね。」
「瑠璃…もう下がっていいぞ。」
「失礼します…」