第15章 最終章〜sweet&sweet1〜
江戸までの道中
もう日向様とお顔を合わすことは
なかった。
そして、どこかにいるはずなのに
しばらく姿を見せない麻兎のことが
気になったけど…
結局姿を見かけることは無かった。
「おかえりなさいませ…上様。
道中つつがなくお帰りで
何よりでございます。」
「稲葉!…火影!」
ほんの数日留守にしただけだったのに
とても懐かしい気持ちになる。
みんなもう、本当に私の家族の
ようなものなんだな…
だけど、私はやっぱり町人の娘。
道中に訪れた町々や田園風景の方が
自分にはしっくりくるということを
つくづく思い知った数日間でもあった。
「瑠璃様…
春日局様が至急来てくださいって。
お疲れのところごめんね。」
火影が耳もとで囁いた。
火影とは近頃
あまり話をしていなかったけど…
変わらない優しい笑顔に
私は安らぎを感じていた。