第14章 日向
こんなに優しく触れて
下さっているのにこんな風になって。
やっぱり私
おかしくなってしまったのかも…
「日向様…
私はもうそのように想っていただける
のに相応しい女ではありません…」
日向は驚いて瑠璃の顔を見た。
「どういう意味だ?」
「この数か月で
私は変わってしまいました。
こんな私でも普通の幸せなんて
望めるのでしょうか…」
「瑠璃…
お前の瞳は澄んだままだ。
あの江戸城に長くいて
そのような瞳をしたものは他にいない。
だから俺もお前に惹かれたんだろう。
きっとお前が選ぶであろう男も同じだ…
案ずるな、瑠璃。
お前は誰よりも清く、美しいままだ。」
日向の優しさに
瑠璃の頬を涙が一筋伝った。
「それに俺はうれしい…
お前をこの胸に抱き
この指をお前が濡らす…
今宵だけでいい。
俺を深く求めてくれ…」