第1章 ファーストキス
「誰が強引な女ですって?たらしの二宮くん?」
「あのなぁ言っとくけど、俺好きになったらとことん一途だし。てか、たらしはコイツだろ?」
「はぁ?なんで俺に来んだよ笑」
「ふふふ。確かにね」
お姉ちゃんと二宮さんたちは楽しそうに話してて。
なんか、この雰囲気が心地よくて、でも。
あたしのいる場所じゃないなってなんとなく、思った。
「ちゃんさ、彼氏っているん?」
丸山さんの質問に、お姉ちゃんが苦笑いするのが見えた。
「…………いませんよ。」
あたしが少しふて腐れて答えると、二宮さんがあたしとの距離を詰めた。
「へぇー。じゃあさ、イロイロとまだなんだ?」
「……っ///」
そ、そんなこと、こんな至近距離で言わないで……。
「お前、その言い方変態だろ笑」
「変態は、止めろよー。せめて、エロいにして」
「あ、エロいのは認めるのね」
お姉ちゃんがいうと二宮さんは、ニコーっとして頷いた。
「まあまあ、うちの妹には手を出さないでやってね」
「くぅー!!俺、耐えられっかな!?」
「俺、無理かもしんない笑」
そんな男性陣の言葉に、小さくなっていくあたしをお姉ちゃんは笑って見てる。
助けてくれるんじゃないのかいっ!
心の中で軽くお姉ちゃんを軽蔑していると、服の裾を誰かに引っ張られた。
「大丈夫。何かあったら俺が助けるから、心配すんな」
「えっ……?」
見上げた時にはもう、二宮さんは友達の話に戻っていた。
「な、和もそう思うだろ?」
そんな投げ掛けに二宮さんは、あたしの方をチラッと見てちょっと笑った。
「そうだな、俺も酔ったら止まんなくなるかもな」
あたしを見たとき、少しニヤけたのが見えた気がした。
…………やっぱり、さっきの言葉信用できないよね。
あたしの勝手な二宮さんのイメージだけどさ。
アイドルで、ファンに夢売る立場にいるくせに女性関係が派手で。
それでも、人気は衰えることなくむしろ、止まることを知らないかのように、TVで見ない日はない。
多分、二宮さんや嵐さんの本当のファンの人は、それを踏まえてファンなのだろう。
あたしは、そこまで好きじゃないから客観的に見て、そこはどーなのかなって思うけど。