第12章 優しさ【田中龍之介】
田「うお、お前どうした!?」
『翔陽と水遊びしてて濡れた…』
そう、さっきまで翔陽と水の掛け合いをしていた
まさかこんなになるまで気づかないとは…不覚
田「いや、お前…びしょ濡れじゃねーか!!」
『知ってる』
髪や服から滴り落ちるほどびしょ濡れの私
とりあえず寒い、本当に寒い
この後体育なのに…どうしよう
体育自体をサボるか…いや、体育したいし嫌だな
じゃあ誰かにジャージ借りるしかないか…
二年…は無理だな今から今日体育あるのうちのクラスだけだから
じゃあ三年?…知り合いが!!
一年…一年…
『あっ!翔陽に借りれば良いじゃん!!』
そうだ、翔陽のクラスはうちのクラスの後だから大丈夫!
しかも身長的にピッタリだし
『龍!脳内で解決した!翔陽にジャージ借りに行ってくるね』
バイバーイ、と手を振って向かおうとしたとき
___パシッ
田「その格好でか?やめろよ」
田「俺のジャージ貸すから、ほら」
と龍は自分の着ていたジャージを脱いで私に渡した
『あ、ありがとう』
田「おー」
そういう龍の耳は少し赤くなっていた
いつもぶっきらぼうだけどたまに見せる龍の優しさに心がしみた
ああ、この人の事好きなんだなぁ…ってこの状況で再確認する
田「お前、それ放課後に返しに来いよ!!部活に行けねーからな!!」
はははっと明るく笑った
ああ、本当に……
___chu
田「!!?///」
『好きだよ、龍』
田「今日の放課後、お前がジャージ返しに来たときに言おうと思ってたのに!!」
『付き「付き合ってくれ!!!」…うん//』