第41章 -海常-(黄瀬涼太)
体育以外の授業の時間…
中間テストと期末テスト…
そして、6月18日、オレの誕生日。
新・三大オレのキライな日。
3つじゃない気もするけど、
ま、いっか☆
どこぞのバラエティ番組のように
言ってみたりしてるのは、
オレがこの番組に
呼ばれたからではなく、
今日がその、
新・三大オレの嫌いな日
のうちのひとつ、
オレの誕生日だからだ。
物心ついた頃から、
誕生日は多くの人が祝ってくれていた。
幸せか不幸かといえば、
もちろん幸せだが、
オレとしては1年365日のうちの
ただの1日であり、
特段騒ぎ立てる意味がわからない。
モデルを始めてからは、
ファンの人も
祝ってくれるようになったから、
嬉しいといえば嬉しいけど、
そっとしておいてほしい…
そう思うのも本音だった。
オレのキャラじゃないから、
そんなコト誰にも
言わないっスけどね☆
今日も朝練から、
ファンのコがたくさん来てくれていた。
「黄瀬くん‼︎
お誕生日おめでと〜♡」
「あ!ずるーい‼︎
黄瀬くん、コレ、プレゼント‼︎」
1つ受け取ると
あっという間に山積みにされていく
オレへのプレゼント…。
「ありがとう♡
その気持ちが嬉しいっスよ☆」
バチン☆とウインクを飛ばせば、
キャーキャー騒ぎ立てる女のコたち。
嬉しいけど、満たされない。
そんな6月18日…
オレの16歳のはじまり…
部室に戻ると、
森山先輩と早川先輩がからかってくる。
「黄瀬〜‼︎おまえってヤツは…。
モテるのはわかっていたが、
誕生日ともなるとすげーのな。」
「おまえっ!
もっと嬉しそうにし(ろ)よ〜!
贅沢者〜っ!!」
いや、別に嬉しくないわけではない。
「まぁまぁ、おまえらが
もらったわけじゃないんだから。」
オレが笑顔を作って
言い返そうとすると、
小堀先輩が間に入ってくれたが、
そこで笠松先輩からの怒号が飛ぶ。
「つぅか‼︎おまえら、うっせぇ‼︎
黄瀬も‼︎早く着替えろっ‼︎
朝のHR遅刻者出たら、
朝練禁止になるんだからなっ!」
…ガチャ‼︎
「あれ?まだこんなにいるの?
皆遅いよ〜。」
突然開いた男子バスケ部の部室のドア…
ヤローの野太い声ではない
明るい女のコの声に
皆ビクッと反応する。