第34章 -冬シチュ三部作②-(青峰/宮地/木吉)
「すごーーーい‼︎キレイ‼︎」
「おぉ…これはすごいな。」
駅前を通ると遠回りになるので、
普段は通らないから、
イルミネーションの
準備をしていたのも知らなかった。
地元の駅にしては、
本格的なイルミネーションで、
オレたちの他にも見ている人が
けっこういた。
「ほんとにキレイだな。」
思わずすみれの肩を
抱き寄せそうになるのをガマンし、
オレはすみれの頭をポンとした。
「…?鉄平くん?」
「ありがとな。
こんなキレイなイルミネーション、
オレと見てくれて。」
「ど…どうしたの⁇
ただの駅前の
イルミネーションだよ…?」
「はは…。まぁ、駅前を通れば、
誰とでも見られるのかもしれないけどな、
すみれと一緒に見るってことに
意義があるんだぞ?」
「…っ⁉︎」
オレがそう言うと、
すみれは何も言わずに
下を向いてしまう。
そして、代わりに
オレの手をギュッと握ってきた。
あぁ…可愛いな。
「そういえば、
今年のクリスマスはどうしようか?」
すみれの手をギュッと握り返して、
すみれに尋ねる。
小さい頃から、
クリスマスはすみれと過ごしていたが、
去年はオレが入院していたし、
すみれも受験生だったので、
特に何もしていなかった。
「あ…あのね!」
「ん?なんだ?」
「あの…えっと…」
珍しくすみれが言い淀む。
「すみれの好きなようでいいぞ?
今日のお礼も兼ねてな。」
「あのね、鉄平くんちに行きたい!」
「オレんち…?」
「うん!ダメ?」
「ダメなわけないだろ?
てゆぅか、オレんちなんかいつでも…」
「鉄平くんちでケーキ食べて、
プレゼント交換したい‼︎」
「そうか。わかった。
じゃ、ウチでするか。」
いつもよりちょっと
照れたように言うすみれが可愛くて、
また頭をポンポンとした。
「子どもっぽいと思ったんでしょー?」
「いや…嬉しかったよ。楽しみだな。」
オレはすみれの頭を
ポンポンとしたまま、
イルミネーションを眺めていた。
すみれが
真っ赤になっていたのを知ったのは、
その時のオレはまだ知らない。
---End---