第1章 -空中-(青峰大輝)
昼休憩、オレは自称”先輩”と
牛丼屋へ入った。
「マジかよ〜。明日はキチぃな。」
牛丼食いながら
携帯をいじってたヤツがボヤいた。
「どーかしたのかよ?」
「彼女がさ、親が上京してくるから、
会ってくれとかメールしてきてさ。
明日もバイト入ってるのに。」
へぇ。こいつ、彼女いんのか。
「…オレ、入ってやろーか?
明日も現場ココだろ?
つーか、ココの現場の間、
代わってやるよ。」
このビルの窓拭きは、
3ヶ月に1回らしい。
1回の作業に1週間ほど…。
いつもならそんなこと
ぜってぇ言わねぇが、
あの女に会えるかも…と、
一瞬見ただけなのに、
なぜか期待をしているオレがいた。
「マジかよ、青峰〜っ!
お前、めんどくさいと思ってたけど、
いい奴だったんだな!」
はぁ⁈現金な奴…。
ま。お互いさまか。
オレはこの現場にあと4日、
金曜日まで通う権利を手に入れた。