第15章 -内緒-(黄瀬涼太)
……⁇
あぁ…わたし、熱出して…
病院行って…あれ⁇
わたしはベッドにいた。
そういえば…黄瀬くんがいた…夢⁇
夢でまで見るなんて、どうかして…
「すみれっち⁇
気がついたんスね!よかった‼︎」
…る……⁈
なん…で…⁈
「黄瀬…くん…⁈」
夢かと思っていた黄瀬くんが、
わたしの顔を覗き込んでいた。
「えっと…あの…なん…
黄瀬くん…あれ?」
頭が混乱する…。
「熱はさっきよりは良さそうっスね。」
…っ⁈
突然黄瀬くんが
おでこをコツンとくっつけてきた。
ね…熱あがっちゃうっ…。
おでこをはなした黄瀬くんは、
今度は大きな手のひらで、
わたしのおでこを触り、
頭を撫でてくれた。
「黄瀬くん…あの…なん…で⁇
なに…して…⁇」
「なにって…お見舞いっス☆」
黄瀬くんが
コンビニの袋を持ち上げた。
「すみれっち、下で会ったときに、
倒れちゃったんスよ?」
「えっ⁈」
「悪いなぁとは思ったんスけど、
バッグから鍵出して、
部屋に入っちゃったんス。
ごめんね、すみれっち。」
「ううん。むしろ…ありがとう。
わたしこそ迷惑掛けちゃって…。」
「んで、汗かいてたみたいだから、
着替え…」
「えっ⁈やぁっ!」
黄瀬くんのことばにビックリして、
思わず布団をかぶって隠れた。
「すみれっち〜‼︎違うって〜‼︎
着替えさせようと思っただけっス!
思っただけ‼︎
服、変わってないでしょ?」
…⁈
黄瀬くんのことばに、
恐る恐る自分の服を見ると、
たしかにさっき着ていた
ロンTとスウェットのままだった。
よかった。
ホッとして少し布団から顔を出すと、
黄瀬くんも安心したように
ニッコリしていた。
でも、こんなカッコ見られたの⁈
それはそれで余計恥ずかしい…。
「黄瀬くん⁇」
「な〜んスか⁇」
黄瀬くんはわたしの頭を撫でたまま
優しい目をしていた。
「あの…学校は?」
「あぁ。
朝、来週仕事で休む予定を伝えに
職員室に行ったんス。
そしたら、ちょうど
すみれっちからの電話を
先生が受けてたから、
今日も休むコトにしたんスよ♪」
「そ…そんなことして大丈夫なの⁈」
「休むのは全然大丈夫っス。
だけど…。」