第78章 1ヶ月間の出会い。〈岩泉一〉
「ごめん!一くん!!待ったよね?」
その帰り少し遅れて朱鳥が走ってきた。
一「いや別に大丈夫だけど。それより俺の方こそ、じいちゃんが変なこと言って悪かったな。」
「あーあれ。大丈夫だよ。むしろ嬉しいぐらい!」
一「え?」
さっきの事について謝るとそう帰って来た。
俺は一瞬ドキッとしてしまった。
「だってあんなに褒められて嬉しくないわけないでしょ?」
その言葉で
あぁ、そっちの言かと納得した。
ただ、俺はそのあとの朱鳥の言葉に耳を疑った。
「でも残念だな……。一くんとこうして帰るのも隆広さんと話すのも、もうすぐできなくなると思うと…。」
一「は?」
「私、実習の期間って1ヶ月で今週の金曜日でその1ヶ月になるから来週からはもう来ないんだ。」
一「そう…なのか…。」
そうだ。
朱鳥はあくまで実習生としてこの施設に来てたんだ。
いつかはその実習期間が切れるはずなのに、俺はこの朱鳥と過ごす時間がずっと続くと思いっていた。
「うん。せっかく、一くんと仲良くなったのにね。」
一「だな。」
そのあとは
お互い気まずくなって何を話していいかわからず、ほとんど話さずに別れた。