第78章 1ヶ月間の出会い。〈岩泉一〉
そして、帰る頃には……
「あ、また会いましたね!」
また会った。
まぁー時間帯的に昨日とほとんど変わらねーし、会ってもおかしくはない。
一「そうッスね。」
そして、その人は続けてこんなに提案をしてきた。
「あの、良かったら一緒に帰りません?私この先の駅までなんですけど、一人で帰るのつまらないと思ってたんです。それに私どうせこの時間帯に上がらせてもらうからこれからもまた会うかもしれないし…。」
一瞬迷ったけど、辺りは薄暗くなっているし、ほとんど年も変わらない女子を一人で帰らせるのは危ないと思ったし、俺自信も一人で帰るのはつらないと思い
一「まぁ…いいッスよ。」
俺はその提案にのった。
「本当?じゃあタメ口でいいですか?施設内ではあれですけど、どうせ私はもう青城の生徒じゃないし、お互いの敬語とか堅苦しくないですか?」
一「はい、じゃあ…えっと。」
と、思ったのが
俺はこの人の名前を知らない。
なんと聞けばいいかと迷っていると、察したように言った。
「あ、私黒羽朱鳥って言うの。普通に呼び捨てでいいよ?私は一くんって呼んでいい?」
向こうは昨日俺が記入したのを覚えていたようだった。
一「あ、あぁ。いいけど。」
こうして俺はじいちゃんに会いに行った帰りは朱鳥と話ながら帰るようになった。
まぁーさすがに毎日は行けなかったが、週に何度か行くようになった。
最初は馴れ馴れしいと思っていたが、バレーの話や学校のこと、じいちゃんとの思い出などを話すようになってそのわずかな時間が楽しくなっていた。