第69章 恋の花はいつの間にか〈矢巾秀〉
「また、逃げられちゃったんだ黒羽さん。」
矢「…なんだ…渡か…。何の用だよ?」
その声に振り向くと、隣のクラスの渡が立っていた。
あの子に逃げられて落ち込んでいる間際だったため、少しテンション下げ気味で聞いた。
渡「これ、来週の練習試合の詳細の紙。」
渡は白い紙を一枚渡した。
矢「…あぁ…サンキュー…。」
それを受けとると。
渡「黒羽さん他の奴も狙ってるみたいだけど、なかなか落とせねーって言ってたな。」
矢「ホントだよ。何なんだよあの天然ぷり!超ムズい!!」
そんなこと知ってるさ。
だから、焦っているのに、全然思うようにいかない。
渡「あはは。まぁ部活に支障でない程度に頑張ってみれば?」
渡は軽く俺の肩を叩いてそう言った。