第57章 敵わない相手〈花巻貴大(松川一静)〉
「何かお兄ちゃん、水族館に用があるから一緒に行っていいかって…。貴大くんいい?」
松「ま、邪魔はしねーから。」
貴「え、あ、いいけど…。」
首をかしげて少し困った顔で言われるんだから断るわけにはいかず、仕方なく了承した
「よかった!じゃあいこう?!」
そう言って水族館の中へと歩き出した。
※ここからは心の会話が入ります。
貴〔何でお前が付いて来るんだよ。つーか、男子高校生が水族館に何の用だよ!?〕
松〔一応、心配で見に来たんだよ。〕
貴〔お前、俺と朱鳥が付き合うって言った時、普通に認めたじゃん。〕
松〔認めることと心配するのは違うんだよ。花巻だろうが朱鳥は大事な妹だから、嫌な思いはさせたくないの。〕
貴〔別に嫌な思いなんてさせねーよ。〕
松〔それを決めるのはお前じゃない。〕
貴〔……。〕
松〔何も無かったら何も言わねーし、何もしねーよ。だから、気にするな。〕
貴〔ムリだわ!!〕
※心の会話終了
朱鳥の親は共働きであまり家にいなかった。
だから、昔から朱鳥の面倒は松川が見ていたらしい。
だから、仲がいいのはわかる。
けど、妹のデートまで来るって…どんだけのシスコンだよ!
せっかく、久しぶりに朱鳥と二人だけの時間が過ごせると思ったのに。